「資金調達方法」は1つじゃない?今さら聞けない資金調達の基本を創業手帳の創業者・大久保が解説
本当に資金が必要になってからでは遅い!資金調達について学び、融資を有利に受けるための準備をしよう
今回は、そんな素朴な疑問に創業手帳代表の大久保がお答えします。
「資金調達方法の種類」や「資金調達以外で資金を確保する方法」を把握して、有利に融資を受けられるタイミングを活かしましょう。
創業手帳 株式会社 代表取締役
大手ITベンチャー役員で、多くの起業家を見た中で「創業後に困ることが共通している」ことに気づき会社のガイドブック「創業手帳」を考案。現:創業手帳を創業。ユニークなビジネスモデルを成功させた。印刷版は累計250万部、月間のWEB訪問数は起業分野では日本一の100万人を超え、“起業コンシェルジェ“創業手帳アプリの開発や起業無料相談や、内閣府会社設立ワンストップ検討会の常任委員や大学での授業も行っている。毎日創業Tシャツの人としても話題に。 創業手帳 代表取締役 大久保幸世のプロフィールはこちら
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この記事の目次
「資金調達」をする前に押さえておきたいポイント
起業を考えたとき、最初に頭に浮かぶのは「お金」のことかもしれません。実際のところ、多くの場合において「資金調達」は必要になってきます。
ただし、あくまでも資金調達は「手段」であって、起業の「目的」ではありません。大切なのは、「なぜ起業するのか?」という目的です。
何をやり遂げたいのか?
なぜ起業をするのか?その「目的」を明確にして、それを成し遂げるための情熱・意欲が本当にあるのかを考えてみてください。
もしもそれがないなら、厳しいようですが起業は難しいと思います。
ゼロから会社を立ち上げて事業を存続するには、相応の情熱・意欲が必要であり、それがなければ、続けていくことはなかなかできないものです。
一方で、情熱・意欲があるならば、目指す事業に市場の拡大余地があるのかを冷静に判断した上で、必要なスキルを磨き、起業の準備をしていきましょう。
資金はいくら必要か?
創業手帳では、起業後の会社に「起業前の支出予想」と「実際の支出の違い」についてアンケートを取りました。
その結果、約75%の会社は「支出予想が計画通りにいかなかった」ということが分かりました。
支出は起業前の予想よりも多めにかかる傾向があるため、余裕を持って資金を用意しておく必要があります。
なお、資金はいくら必要なのかは、起業する業界や規模にもよりますが、起業するにあたって必要となる支出については、以下の記事で事前に押さえておきましょう。
資金調達以外で資金を確保する方法3つ
じつは、資金調達以外にも資金を確保する方法があります。ここからは資金調達以外で、資金を確保する3つの方法をご紹介します。
早く事業化する
資金を確保するためには、早く事業化することを心がけましょう。なぜなら、スムーズに進めることでコスト削減につながり、事業の成果を享受できるからです。
例えば、ある仕事を3カ月で完了する場合と、1カ月で完了する場合とでは、単純に後者のほうが人件費などの運営費用が少なく済み、売上が入ってくるのも早くなります。
つまり、事業は無駄なく、早く進めることが重要であり、それが資金を確保する方法としても活用できるのです。
自己資金を貯める
起業に必要な自己資金は、以前に比べて少なくなってきています。とはいえ、ある程度の資金力があったほうが選択肢が広がるので、起業を考えたら資金を貯めておきましょう。
融資の際には、審査項目として「自己資金額」をチェックされるので、融資を受けやすくするためにも資金力が必要です。
支払いサイトの調整をする
支払いサイトとは、「取引代金の締日から実際の支払いまでの猶予期間」のことです。
そのため、支払サイト(支払いまでの猶予期間)が長いほどキャッシュフローが改善し、資金繰りが楽になります。
支払サイトを一律に設定している企業が多いのも現状ですが、交渉して調整するのも資金を確保する方法のひとつです。
どうやって資金調達をするのか?
資金調達には、大きく分けて「融資」「出資」「クラウドファンディング」の3つの方法があります。それぞれの概要や特徴について、以下で解説します。
資金調達の方法①「融資」を知ろう
金融機関(銀行や公的機関の日本政策金融公庫)がお金を貸すことを「融資」といいます。
公的機関の融資は、基本的には低金利・無担保です。ある程度の条件が整えば審査に通りやすいという特徴があるため、日本の融資制度は海外に比べて良い環境だといえます。
また、知っておく必要があるのは、信用保証協会です。
信用保証協会は、中小企業・小規模事業者の資金調達をサポートしてくれる公的機関です。金融機関から融資を受ける場合、融資を受ける人の信用を保証してくれます。
信用保証協会の保証がないと融資が下りないため、金融機関に融資の相談をすると、まずは信用保証協会に話をするように言われます。
融資を受ける人が信用保証協会に支払う保証料は、多くの場合では自治体が一部を補填してくれます。
信用保証協会は各都道府県にあり、融資を受ける人が返済できなくなった場合は、金融機関への返済を肩代わりします。
なお、肩代わりしてもらった返済金は、融資を受けた人が信用保証協会に返済する仕組みです。
資金調達の方法②「出資」を知ろう
投資家が資金提供することを「出資」といいます。投資家は「投資の対象となる会社なのか?」を見極めるため、融資に比べて出資先は狭まります。
投資家は、大きく次の3つに分類されます。
- 投資家の種類
-
- エンジェル投資家
個人の投資家。事業が立ち上がる前から投資することが多い。 - ベンチャーキャピタル(VC)
ファンドを作り、投資家から資金を集めるスタイル。上場後は株式の売却益で利益を得る。 - コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)
事業会社による投資。主に事業のシナジーを得る目的で出資を行う。
- エンジェル投資家
融資とは違い、出資は資金の返済が不要ですが、その代わりとして投資家が出資先の株式を取得する場合は、持ち株比率を維持するといった「会社の所有権を守る姿勢」も重要です。
そのほかには、出資を募るための「投資家回り」が大変になるケースもあります。
資金調達の方法③「クラウドファンディング」を知ろう
お客様から直接的にお金を集める方法が「クラウドファンディング」です。
商品購入やサービス提供を希望する人をクラウドファンディングサイトで募り、前払いしてもらった資金で事業を行います。
例えば、CAMPFIRE、Makuake、READYFORがよく知られているクラウドファンディングサイトです。
クラウドファンディングはあらかじめ購入者が決まっているため、商品が売れないといった事態がないことはメリットと言えます。
一方で、集められる資金が一般に少なめであること、クラウドファンディングサイトの運営会社に支払う手数料があること、消費税がかかることを念頭に置いて検討しましょう。
また、上記3つの資金調達の方法以外に「補助金」を申請する方法もあります。
補助金は返済不要ですが、得られる資金が少ないこと、手間がそれなりにかかることを理解した上で、資金を確保する方法のひとつとして検討しましょう。
融資を有利に受けるためには
起業するときに融資を有利に受けるためには、「融資を受ける時期を早めること」「融資担当者の視点を理解すること」が重要です。
融資を受ける時期を早める
融資を受ける時期は早いほうが有利です。資金が少なくなり、本当に資金を必要とするときには、融資は間に合わないと心得ておきましょう。
そうなってから融資を受けようとすると、審査期間が足りない、条件が悪くなるという問題が起きてしまいます。また、倒産しそうな会社に金融機関は融資をしてくれません。
むしろ資金が必要ではないときのほうが、条件の良い融資を受けることができるので、融資は早い時期に受けたほうが有利だと覚えておきましょう。
融資担当者の視点を理解する
融資担当者は、以下の「4つのK」を見ています。
- 融資担当者の視点(4つのK)
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- お金(oKane)=自己資金
- 計画(Keikaku)=事業計画
- 経歴(Keireki)=スキル
- 家族の同意(Kazoku)
起業の熱意はあるものの、自己資金が全くないのでは、融資担当者はその姿勢に疑問を持ちます。また、事業計画は明確なほうが融資を受けやすくなります。
顧問の税理士さんを通したほうが融資の成功率は上がりやすく、事業計画については専門家の壁打ちをしてもらうのが望ましいでしょう。
4つの「K」を整えたら、熱意を持って融資担当者に自分の思いを伝えてください。
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(編集:創業手帳編集部)